凍結保存された提供卵子から形成された胚盤胞における非整倍体率の評価および着床前遺伝学的検査の必要性の検討
本稿は2023年台湾生殖医学会年会にて発表されたものです。
陳秀惠[1]、黄俊嘉[1]、陳建宏[1]、李俊逸[1,2,3]、林秉瑤[1]、李忠賢[1,2]、李茂盛[1,2,3]
[1] 茂盛病院
[2] 中山医学大学附属病院 産婦人科
[3] 中山医学大学大学院
研究課題
凍結保存された提供卵子(EGB)から形成された胚盤胞における非整倍体率を検証するとともに、EGB由来の胚盤胞に対して着床前遺伝学的検査(PGT-A)を実施する必要性について評価することを目的とした。
研究計画、規模および研究期間
本後ろ向き研究では、EGB周期471例(PGT-A実施周期318例、PGT-A非実施周期153例)を対象とした。本研究は2018年1月から2023年4月までの期間に、茂盛病院にて実施された(CS1-23027)。
材料・研究環境・方法
TE(栄養外胚葉)生検後、適格と判断された拡張胚盤胞は凍結保存を行った。本研究で評価した変数には、対象者の特性(年齢、AMH、血清ビタミンD濃度、ホルモン値)、男性因子、排卵誘発法、卵巣刺激法、採卵数、MII卵母細胞数、成熟率、MII生存率(MII SR)、胚の品質および染色体倍数性が含まれる。主要評価項目は、PGT-A実施群とPGT-A非実施群における凍結胚移植(FET)後の妊娠率とした。統計解析には、スピアマン順位相関係数、マン・ホイットニーU検定、フィッシャーの正確確率検定およびカイ二乗検定を用いた。
主な結果
凍結保存後に生存したMII期卵母細胞は合計8,568個であり、これらにICSIを実施した結果、受精率は86.2%(7,386/8,568)であった。胚盤胞形成率は55.6%(4,103/7,386)であり、そのうち2,637個(35.7%)の良好品質胚盤胞が凍結保存された。スピアマン順位相関係数による解析では、MII期卵母細胞の生存率と良好胚盤胞率との間に正の相関が認められた。
合計1,634個の適格な良好胚に対してPGT-Aを実施した結果、非整倍体率は18.1%であった。
PGT-A実施群では、胚移植数(1.7±0.6個)はPGT-A非実施群(2.1±0.6個)と比較して有意に少なかった(P<0.001)。
初回FET周期における妊娠率は、PGT-A実施群60.2%、PGT-A非実施群63.5%であり、両群間に有意差は認められなかった(p=0.479)。また、初回FET周期における着床率(PGT-A実施群38.9%、PGT-A非実施群32.6%)および流産率(それぞれ2.3%および6.1%)についても、両群間に有意差は認められなかった(それぞれp=0.126およびp=0.173)。
さらに、1回の採卵あたりの累積妊娠率は、PGT-A実施群81.9%、PGT-A非実施群85.7%であり、両群間に有意差は認められなかった(p=0.577)。
結論
MII期卵母細胞の生存率は、EGB周期における良好胚盤胞率と関連する重要な要因である。PGT-A実施群とPGT-A非実施群の間では、累積妊娠率、着床率および流産率に大きな差は認められなかった。一方で、PGT-A実施周期では胚移植数がPGT-A非実施周期と比較して有意に少なかった。この結果は、単一胚移植を行う場合や非整倍体胚の移植を回避する必要がある場合など、特定の状況においてPGT-Aの実施を検討する意義があることを示唆している。
原文タイトル:
Assessment of aneuploidy formation in blastocysts resulting from vitrified donor eggs and the necessity of the embryos for PGT-A