医療コラム

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高齢出産とは何歳から?高齢出産における妊娠リスクと注意点を解説

台湾内政部が発表した2020年(民国109年)の人口統計によると、国民の平均初婚年齢は男性32.3歳、女性30.3歳となっています。また、女性が初めて妊娠する平均年齢は31.9歳です。その中で、35歳以上の妊婦は全体の31.6%を占めており、高齢出産は年々増加し、珍しいものではなくなっています。

しかしながら、高齢出産の定義や、高齢出産に伴うリスクについては、十分に理解されていない方も少なくありません。本記事では、高齢出産において特に注意すべきポイントを整理してご紹介します。

高齢出産の方に必ず知ってほしいこと

  • 高齢出産の定義とは?
  • 高齢で妊娠を希望する場合、一般的にはどのように妊娠するのか?
  • 高齢出産に伴う主なリスクとは?
  • 妊娠中に注意すべきリスク:妊娠初期・中期・後期それぞれの注意点
  • 出産後の赤ちゃんに起こりうるリスク:母親の年齢によって異なる発生率
  • 高齢出産における注意事項
  • 妊娠準備期間の注意点:高齢出産で受けておきたい検査とは?
  • 妊娠中の注意点:食事・運動・日常生活習慣のポイント
  • 出産時の注意点:早産や陣痛の兆候を見逃さないために

高齢出産の定義とは?

医学的には、34歳以上で妊娠・出産する場合を高齢出産(Advanced Maternal Age:AMA)と呼びます。高齢出産では、年齢が上がるにつれて、胎児の染色体異常、低出生体重、その他の先天異常が起こる可能性が高まることが知られています。

医学研究による統計では、25歳でダウン症のある赤ちゃんを出産する確率は約1/1,250とされています。一方、33歳ではその確率が約1/250まで上昇すると報告されています。

高齢で妊娠を希望する場合、どのような補助的な方法がある?

近年、生殖医療は大きく進歩しており、高齢のご夫婦が妊娠を希望する場合、自然妊娠に加えて、生殖補助医療技術を用いた妊娠も選択肢の一つとなっています。

  1. 凍結卵子の使用
    過去に卵子凍結を行っている場合、凍結卵子を解凍し、パートナーの精子と受精・培養することで、若い時期の卵子を用いた体外受精が可能です。
  2. 体外受精
    体外受精は、35歳以上で、半年以上妊娠に至らない方に適した治療法です。現在の体外受精技術では、高齢のご夫婦でも妊娠成功率の向上や妊娠までの期間短縮が期待できます。
  3. 卵子提供による体外受精
    卵子提供は、高齢の方や、卵子の採取が難しい方に適した治療法です。健康で若いドナーの卵子を使用することで、出生率の向上が期待されます。
  4. 精子提供による体外受精
    精子提供は、高齢のご夫婦や無精子症の方に適した治療法です。使用される精子はすべて厳格なスクリーニング検査を経ており、胚の健康を確保します。
  5. 各種生殖補助技術
    現在の生殖医療ではさまざまな補助技術が発展しており、不妊の夫婦の妊娠率向上を助けることができます。
  • ERA(子宮内膜着床能検査):胚移植に最適なタイミングを予測し、着床率の向上を目指します。
  • PRP療法:自己血小板を用いて子宮内膜の再生・増殖を促します。
  • AIによる胚評価:AIを活用し、胚の形態やグレードを客観的に評価します。
  • PGS(着床前染色体スクリーニング):染色体異常のない胚を選別することで、流産リスクや多胎妊娠のリスク低減が期待されます。
  • 紡錘体可視化技術:顕微授精時の卵子へのダメージを軽減し、胚の着床率向上を目指します。

    高齢出産に伴うリスクとは?

高齢出産では、妊娠期間中から出産後にかけて、さまざまな潜在的リスクが存在するため、妊娠を計画する段階から十分な検討と準備が必要です。

高齢出産における妊娠中の主なリスク

  • 自然流産
    台湾国民健康署の統計によると、35〜39歳の妊婦の流産率は24.6%、40〜44歳では51%に達すると報告されています。母体およびパートナーの年齢が高くなるほど、妊娠初期の流産リスクは上昇する傾向があります。
  • 妊娠糖尿病
    胎盤から分泌されるホルモンの影響により、インスリン抵抗性が高まり、インスリンが正常に働かなくなることで発症します。年齢とともに発症リスクが高まる妊娠合併症の一つであり、注意が必要です。
  • 妊娠高血圧腎症
    妊娠中の血管内皮細胞の変化により血圧が上昇し、全身のむくみが生じることがあります。また、胎盤への血流が減少することで、胎児発育不全を引き起こす可能性があります。
  • 難産のリスク
    高齢出産では、骨盤周囲の靭帯の柔軟性低下や体力の低下により、分娩がスムーズに進まない場合があります。また、妊娠合併症を伴う場合、帝王切開となる可能性が高くなることもあります。

各妊娠時期の高齢出産における注意すべきリスク

 

各妊娠時期 高齢出産における主なリスク
妊娠初期 妊娠初期に胚が着床しにくく、流産のリスクが高まる傾向がある
妊娠中期 妊娠合併症が起こりやすく、血圧や血糖値などの指標を特に注意深く管理する必要がある
出産期 分娩が順調に進みにくく、帝王切開となる可能性が高くなる

出産後の赤ちゃんに起こりうる潜在的なリスク

  • 早産児
    台湾国民健康署の統計によると、40歳以上の高齢出産で生まれた新生児のうち、100人中15.9人が早産児とされています。これは、25〜29歳の産婦と比べて約2倍の割合です。
  • 低出生体重
    35歳以上の高齢出産で生まれた新生児のうち、低出生体重児(1,500〜2,499g)の発生率は10.94%、さらに極低出生体重児(1,500g未満)の発生率は1.3%と報告されています。
産婦の年齢 25-29歲 30-34歲 35歲以上
早產 8.31% 9.76% 13.15%
低出生体重 8.01% 8.77% 10.94%
極低出生体重 0.68% 0.87% 1.3%

高齢出産における注意事項

妊娠準備期間(妊活中)の注意点

  • 高齢で妊娠を希望するご夫婦は、妊娠前検査を受け、遺伝性疾患などの潜在的リスクを事前に確認することが推奨されます。
  • 妊娠を希望してから半年以上妊娠に至らない場合は、不妊症専門外来での詳細な不妊検査を検討するとよいでしょう。

妊娠中の注意点

  • 国民健康署が公表している「国民の食事摂取基準」に基づき、妊娠を希望する女性および妊娠初期の妊婦は、葉酸を1日600μg摂取することが推奨されています(例:濃緑色野菜、豆類)。また、妊娠後期には鉄分を1日45mg摂取することが推奨されています(例:赤身の肉、濃緑色野菜)。
  • 妊娠中はバランスの取れた食事を心がけ、過度な体重増減は避けましょう。妊娠前と比べて体重増加は10〜14kg程度が目安とされています。体重が少なすぎる場合は胎児発育不全や早産のリスクが高まり、過剰な場合は巨大児のリスクが高まる可能性があります。
  • 妊娠中は、1日30分程度の適度な運動を行うことが推奨されており、妊娠糖尿病や難産のリスク低減につながります。
  • 妊娠期間中は、喫煙(受動喫煙を含む)や飲酒などの有害物質への長期的な接触を避け、胎児の発育や流産リスクへの影響を防ぎましょう。
  • 感染症流行時には、マスク着用、手洗いの徹底などの自己健康管理を行い、感染リスクを低減することが重要です。

出産時の注意点

妊娠後期には、ご自身の体調の変化に十分注意し、早産の兆候や陣痛のサインが見られた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

早産の兆候 出産の兆候
子宮の規則的な収縮
下腹部の鈍痛
腹痛
下腹部が下がるような感覚
胎動の明らかな減少
おしるし(少量の出血)
陣痛(規則的な陣痛)
破水

医師の判断により、分娩の進行が遅れる可能性や出産が困難と考えられる場合には、帝王切開が推奨されることがあります。

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