医療コラム

排卵誘発剤を増やせば卵子は増える?もし卵子が1つしか取れなかったら?

排卵誘発は妊娠の可能性を高める効果があり、不妊治療では排卵誘発を行います。一般的な排卵誘発の方法は、刺激の程度が軽いものから、経口排卵誘発薬、短時間作用型の排卵誘発注射、長時間作用型の排卵誘発注射があります。排卵誘発方法の選択については、主にAMH値と個人の体質に基づいて、一人ひとりに合わせて調整します。

排卵誘発剤の投与量は排卵にどう影響する?

通常、女性は1回の月経周期で成熟した卵子を1個だけ排卵します。排卵誘発剤を使用することで、より多くの卵胞を成熟させ、成熟卵子の排卵数を増やすことができ、妊娠の可能性を高めることにつながります。排卵誘発剤は、投与量が多ければよいというわけではありません。卵子の数が少ない女性の場合、高用量の排卵誘発剤を使用しても、効果が必ずしも大きいとは限りません。一方、卵子の数が多い女性の場合、投与量が多すぎると、「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」を引き起こし、腹水、腹痛、吐き気・嘔吐などの副作用が現れる可能性があります。そのため、投与量を決める際には、通常、患者様のAMH値を検査し、まず卵巣内にどの程度の卵胞があるのかを確認したうえで投与量を決定します。

排卵誘発剤の投与量を増やすのはどんな場合?

  1. 年齢が高い場合(35歳以上)
  2. 発育している卵胞の数が少ない場合
  3. 下垂体機能が低下している場合

一人ひとり身体の状態が異なるため、排卵誘発剤を使用した際の反応にも違いがあります。同じ投与量でも、人によっては十分でない場合がある一方、別の人にとっては過剰となる可能性もあります。そのため、投与量を増やす必要があるかどうかは、臨床医が判断する必要があります。

長時間作用型と短時間作用型の投与量は同じ?それぞれのメリット・デメリット

排卵誘発剤には、長時間作用型(治療期間中に2回のみ注射)短時間作用型(毎日注射)があり、注射の回数だけでなく、投与量も異なります。長時間作用型の排卵誘発剤は、1回あたりの投与量が多いため、すべての患者様に適しているわけではありません。一方、短時間作用型は、患者様の身体の状態に応じて投与量を調整できるというメリットがあります。一般的には、短時間作用型の排卵誘発剤を使用する治療を優先的におすすめしています。治療中に卵胞の発育状況を確認しながら投与量を調整できるため、より治療効果が期待できます。

長時間作用型・短時間作用型の排卵誘発剤、それぞれのメリット・デメリット

項目 長時間作用型 短時間作用型
投与量 多い 少ない
注射頻度 7日に1回 1日1回
メリット
  • 毎日注射する負担を減らすことができる
  • 利便性が高く、忙しい方に適している
  • 注射忘れや投与量の間違いなど、人為的なミスを減らすことができる
  • 診察時の卵胞の発育状況に応じて、治療中に投与量を調整できる
  • より治療効果が期待できる
  • 多くの患者様に適している
デメリット
  • 治療中に投与量を調整できない
  • 多嚢胞性卵巣、卵巣機能低下、卵巣過剰刺激症候群の既往がある方には適していない
  • 毎日決まった時間に注射する必要があり、やや不便
  • 毎日注射することで、心理的負担が大きくなりやすい
  • 卵胞の発育状況を確認するため、定期的な通院が必要

排卵誘発剤を使っても卵子が1つしか成熟しないのは正常?

排卵誘発剤を使用して卵子が1つしか成熟しない場合、採卵できる卵子の数としては、確かに少ないといえます。通常は、複数回の採卵を行い、できるだけ多くの胚を得ることで、妊娠の可能性を高める方法が検討されます。ただし、妊娠の可能性は採卵できる卵子の数だけで決まるものではなく、卵子の質も大きく関係します。妊娠につなげるためには、成熟した質の良い卵子が必要です。卵子の質が低い場合、胚まで育ちにくかったり、胚を移植しても着床しなかったり、流産につながったりすることがあります。一般的に、年齢が高い方、AMH値が低い方、排卵誘発剤への反応が弱い方、早発卵巣不全(POI)の方などは、採卵できる卵子の数が少なくなる傾向があります。そのような場合でも、卵子を採取できたこと自体が大切な一歩です。

注射を打つことを忘れてしまった場合はどうする?治療への影響

排卵誘発剤を注射する時間は、基本的に毎日同じ時間帯に行うことが推奨されます。できるだけ注射をする時間がずれないようにし、目安として2時間以上ずれないよう注意しましょう。もし注射を忘れてしまった場合は、自己判断で対応せず、すぐに医療機関へ連絡し、どのように追加で注射すればよいか確認してください。排卵誘発剤の注射を予定どおりに行わない場合、治療結果に影響する可能性があります。治療中は、医師の指示に従って、決められた時間に注射することが大切です。

排卵誘発剤は、飲み薬と注射のどちらを使う?どうやって決める?

排卵誘発の方法は、年齢、卵巣予備能、胞状卵胞数(AFC)、体質などを考慮して決定します。排卵誘発を始める前に、医師がAMH検査などを行い、卵巣に残っている卵胞の数など、卵巣の状態を確認します。その結果を踏まえ、人工授精や体外受精など、治療方法に合わせて、飲み薬、短時間作用型の注射、長時間作用型の注射などから、適した排卵誘発剤を選択します。