医療コラム

黄体ホルモン不足にはどんな食べ物がいい?妊活中に知っておきたい黄体ホルモンの働きと補充方法

黄体ホルモンが不足すると、なぜ補充が必要?

黄体ホルモンは妊娠において非常に重要な役割を担っており、妊娠初期の受精卵の着床や、正常な妊娠を維持するために欠かせないホルモンです。黄体ホルモンの異常は、女性の生理機能の乱れを引き起こしたり、妊娠しにくくなったり、流産のリスクにつながることがあります。では、黄体ホルモンが不足している場合、何を食べればよいのでしょうか?

本記事では、ビタミンEやビタミンCをはじめ、黄体ホルモンの分泌をサポートするとされる7つの栄養素・食品についてご紹介します。黄体ホルモンがどのように作られるのか、その主な働きや、黄体ホルモンが不足している場合にどのような食事を心がければよいのかについて詳しく解説します。妊活中の方や、これから妊娠を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

黄体ホルモンとは?P4の働きを知る

黄体ホルモン(Progesterone:P4)は、プロゲステロンとも呼ばれ、女性の卵巣から分泌されるホルモンです。子宮内膜を安定させ、胚が発育するための環境を整える働きがあります。正常な女性の月経周期は、卵胞期、排卵期、黄体期の3つの段階を経ます。黄体ホルモンは、このうち黄体期に分泌されます。

黄体期:胚の着床に適した環境を整える重要な時期
黄体期に分泌される黄体ホルモンは、子宮内膜を安定させ、胚が着床・発育するための適切な環境を整えます。 妊娠が成立すると、着床後に分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が黄体を刺激し、黄体ホルモンの分泌を維持することで子宮内膜を安定させます。これは、胚の着床や発育を促すうえで非常に重要なホルモンです。

黄体ホルモンが不足すると、月経不順、無排卵、着床不成立、妊娠初期の出血、妊娠中の流産や早産などを引き起こす可能性があります。

黄体ホルモンとエストロゲン、黄体形成ホルモン(LH)は何が違う?

  • 黄体ホルモン(P4):
    女性の卵巣から分泌され、子宮内膜を安定させることで、受精卵が着床しやすい環境を整えます。
  • エストロゲン(E2):
    同じく女性の卵巣から分泌され、子宮内膜の成長・肥厚を促すことで、受精卵の着床に向けて子宮内膜を整えます。
  • 黄体形成ホルモン(LH):
    脳下垂体から分泌されるホルモンで、排卵の過程において重要な役割を果たします。卵胞の成熟を促し、成熟した卵胞を破裂させて排卵を引き起こします。

黄体ホルモンの働き・作用とは?

黄体ホルモンは、女性の妊活中や妊娠中において非常に重要な役割を担っています。妊活中は、黄体ホルモンの働きによって子宮内の環境を安定させ、胚がスムーズに着床できるようにします。妊娠中も、黄体ホルモンは胚の発育を促し、早産や流産を防ぐ働きがあります。

妊活中の黄体ホルモンの働き
卵巣は、毎月の月経周期における黄体期に黄体ホルモンを分泌し、子宮内膜を安定させて妊娠に向けた準備を整えます。黄体期の黄体ホルモンの分泌が不足すると、着床しにくくなることがあります。ただし、黄体ホルモンを補充すると月経周期が変化する可能性があるため、妊活中に黄体ホルモンが不足している場合でも、自己判断で補充することは推奨されません。 医師の指示に従って服用する必要があります。

妊娠中の黄体ホルモンの働き
妊娠が成立すると、黄体ホルモンの濃度は上昇し、妊娠週数とともに徐々に増加します。 黄体ホルモンは、着床した胚が子宮内で安定して発育できるようにするとともに、母体の炎症反応を抑え、免疫系の働きを調整することで、胎児が母体から排除される免疫反応を防ぎます。妊娠中に黄体ホルモンが不足している場合は、黄体ホルモンを薬剤で補充し、流産を防ぐための治療として用いることがあります。 これにより、子宮内膜を安定した状態に保ちます。

黄体ホルモン不足によって起こる症状とは?

女性の黄体ホルモンが不足すると、月経不順や経血量の異常、月経時の不調が現れることがあります。また、情緒不安定や睡眠障害などの月経前症候群(PMS)の症状がみられる場合もあります。さらに、子宮内膜症や子宮内膜の前がん病変、子宮筋腫の増大などのリスクが高まる可能性があります。妊娠後に黄体ホルモンが不足すると、胚の着床が不安定になり、出血や流産につながったりする可能性があります。

黄体ホルモン不足の原因とは?

黄体ホルモンが不足する原因には、以下のようなものがあります:

  1. 加齢
  2. 疾患・薬剤の服用
  3. 強いストレス
  4. 無排卵・過度の肥満
  5. 生活習慣の乱れ

年齢を重ねるにつれて、女性の卵巣機能は徐々に低下・老化し、黄体ホルモンの分泌が不足することがあります。 また、甲状腺機能低下症や多嚢胞性卵巣症候群などの疾患がある場合や、健康上の理由で継続的に薬を服用している場合も、ホルモンの分泌に影響を及ぼすことがあります。また、強いストレス、排卵異常、過度の肥満、生活習慣の乱れ(夜更かし、喫煙、過度の飲酒)なども、黄体ホルモンの分泌に影響を及ぼす可能性があります。

黄体ホルモン不足を知る方法は?検査方法と正常値

黄体ホルモンの濃度は、採血によって検査することができます。 どのような場合に黄体ホルモンの検査を受ける必要があるのでしょうか?女性で長期間にわたる月経異常、重度の月経前症候群(PMS)、不妊症がある場合、黄体ホルモンの不足が原因となっている可能性があります。このような症状がある場合は、黄体ホルモンの濃度を検査することで原因を確認し、早期に治療を行うことが推奨されます。

黄体ホルモンの正常値は?

  • 卵胞期:2ng/ml未満
  • 排卵後:15ng/ml以上
  • 妊娠初期:25ng/mlを超えることがあり、妊娠週数が進むにつれて上昇し、子宮内で胚が安定して発育できるようにします
  • 妊娠中期(12~24週):一定の濃度(200~300ng/ml)を維持し、出産まで続きます
  • 閉経後(更年期):1ng/ml未満

黄体ホルモンを補充する際の注意点

黄体ホルモンはいつ服用する?
どのような場合に黄体ホルモンを補充する必要があるのでしょうか? 女性の黄体ホルモンが不足すると、身体機能の乱れにつながることがあります。以下のような場合には、黄体ホルモンを補充することで、身体の正常な機能を維持し、症状の改善につながることがあります。

  1. 月経周期の調整:黄体ホルモンを含む経口避妊薬を服用することで、月経周期を整えるとともに、月経前症候群(PMS)の改善にもつながります。
  2. 妊娠率の向上:黄体ホルモンによって子宮内膜が安定し、着床の成功率を高めることが期待できます。
  3. 妊娠中の流産予防:黄体ホルモンを補充することで子宮内膜を安定した状態に保ち、妊娠初期の黄体ホルモン不足によって起こる出血の症状を緩和します。
  4. 更年期の不調の緩和:更年期になるとホルモンの分泌量が大幅に減少します。適切に黄体ホルモンを補充することで、エストロゲン単独投与によって起こる子宮内膜の異常増殖や、子宮内膜がんのリスクを防ぐことができます。

黄体ホルモンを補充する方法

  • 経口黄体ホルモン:
    妊娠していない女性は、黄体ホルモンを補充するために経口避妊薬を服用することができ、最も手軽な黄体ホルモンの補充方法です。ただし、服用後にめまい、吐き気・嘔吐、動悸などの副作用が現れることがあります。妊娠を希望する女性は、黄体ホルモンを服用することで妊娠の可能性を高めることが期待でき、妊娠中の女性も流産予防のために黄体ホルモンを服用することがあります。
  • 黄体ホルモン膣剤:
    膣剤を使用することで子宮内膜に直接作用し、経口薬よりも吸収されやすくなります。ただし、膣炎などの感染を繰り返しやすい方には推奨されません。
  • 黄体ホルモン注射:
    黄体ホルモン注射は筋肉内に注射する方法で、吸収率が最も高いとされています。一方、他の2つの方法と比べて手間がかかり、注射部位にしこりができたり、局所的な炎症やアレルギー反応が生じたりすることがあります。

黄体ホルモンを補充する際の注意点

    • 医師の指示に従って服用する。(過剰に黄体ホルモンを補充しても効果はありません)
    • 黄体ホルモンの補充によって副作用が現れることがあります。重い副作用がみられた場合は、医師に相談して薬の調整を行ってください。
    • 黄体ホルモンを過剰に補充すると、不正出血や排卵異常、むくみ、ニキビなどの症状が現れることがあります。

黄体ホルモン不足にはどんな食べ物がいい?

黄体ホルモンが不足している場合、何を食べればよいのでしょうか?薬や注射による補充だけでなく、食生活も重要です。黄体ホルモンの分泌量を高めるためには、以下の栄養素を摂取するとよいとされています。

  1. マグネシウム
  2. 亜鉛
  3. ビタミンE
  4. 良質なコレステロール
  5. アルギニン
  6. ビタミンB6
  7. ビタミンC

黄体ホルモンを補うためには、以下のような食品を積極的に摂取するとよいでしょう。

  1. マグネシウム
    黄体ホルモンの濃度を維持するのに役立ちます。ナッツ類、緑葉野菜、全粒穀物などから摂取できます。
  2. 亜鉛
    脳下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促し、卵胞の成熟や排卵を助けます。これにより、卵巣でのエストロゲンや黄体ホルモンの産生を促します。牡蠣、エビ、牛肉、羊肉、ナッツ類、貝類、動物の内臓などから摂取できます。
  3. ビタミンE
    黄体ホルモンの濃度を高める働きがあります。植物油、アボカド、アーモンド、かぼちゃ、ひまわりの種、マンゴー、アスパラガス、ブロッコリーなどから摂取できます。
  4. 良質なコレステロール
    コレステロールはプレグネノロンを生成し、そこから黄体ホルモンが作られます。ココナッツオイル、七面鳥、赤身肉、ヨーグルト、オリーブ、オリーブオイルなどから摂取できます。
  5. アルギニン
    アルギニンは体内で一酸化窒素を作るのを助け、卵巣の血流改善に役立つことで、より多くの黄体ホルモンの産生につながります。サーモン、鶏肉、豚肉、くるみ、牛乳などから摂取できます。
  6. ビタミンB6
    肝臓でエストロゲンの代謝産物を分解するのを助け、黄体ホルモンの濃度を安定させるほか、ストレスへの抵抗力を高めるのにも役立ちます。全粒穀物、バナナ、魚介類、レバー、ほうれん草、ナッツ類などから摂取できます。
  7. ビタミンC
    黄体ホルモンの分泌量を高めるのに役立ちます。いちご、レモン、オレンジ、パパイヤ、トマト、かぼちゃ、ブロッコリーなどを積極的に摂取するとよいでしょう。

黄体ホルモンが不足している場合の食事で避けたいもの
黄体ホルモンが不足している女性は、高カロリー・高塩分の食品をできるだけ控え、過度の飲酒やカフェインの摂取も避けるようにしましょう。

黄体ホルモン補充による副作用とは?

黄体ホルモンを補充すると、出血、吐き気・嘔吐、動悸、めまい、乳房の張りや痛みなどが生じることがあります。黄体ホルモンの補充による副作用が強い場合は、医師に相談したうえで薬の調整を行うことをおすすめします。黄体ホルモンを過剰に補充すると、食欲が大幅に増加することがあります。また、新陳代謝が低下し、食べ過ぎによる体重増加につながる場合があります。さらに、黄体ホルモンを過剰に摂取すると、身体にむくみが生じることもあります。

黄体ホルモンに関するよくある質問

1.黄体ホルモンは1日にどのくらい服用できますか?
必要な量は一人ひとりの身体の状態や補充する目的によって異なるため、医師の指示に従って服用することが推奨されます。100mgのカプセルの場合、1日2~6カプセルを服用することがあります。

2.妊娠初期に黄体ホルモンが不足した場合、どうすればよいですか?
妊娠中に黄体ホルモンを服用してもよいのでしょうか?妊娠初期に黄体ホルモンが不足すると、出血が起こることがあります。この場合、経口黄体ホルモンを服用したり、黄体ホルモンを成分とする流産予防の注射を使用したりして、黄体ホルモンを補充することがあります。また、黄体ホルモンの膣剤やジェル(例:ルティナス)もあります。妊娠中期から後期に黄体ホルモンが不足すると、早産のリスクが高まる可能性があります。黄体ホルモンの補充に加え、必要に応じて安静にすることも推奨されます。

3.黄体ホルモンを飲み終える前に月経が始まった場合、服用を続けるべきですか?
通常、黄体ホルモンの服用を中止すると、黄体ホルモンの濃度が低下することで月経が始まります。黄体ホルモンを服用している途中で月経が始まった場合は、黄体ホルモンを補充している目的によって対応が異なるため、服用を続ける必要があるかどうかを医師に確認してください。月経を起こしたり、月経周期を調整したりする目的で服用している場合は、服用を続ける必要はありません。

4.黄体ホルモンが不足している場合、運動で改善できますか?
適度な運動は黄体ホルモンの分泌を促すことがあります。黄体ホルモンを補充している期間中も、適度な運動を行うことで黄体ホルモンの吸収に役立ちます。

5.更年期に黄体ホルモンが不足すると、どのような症状が現れますか?
更年期に黄体ホルモンが不足すると、更年期症候群の症状がより強く現れることがあります。ほてり、動悸、気分の変化、不眠などの症状がみられることがあります。

妊娠において黄体ホルモンは重要?専門医が解説

なぜ黄体ホルモンを服用するのでしょうか?黄体ホルモンは、女性の人生のさまざまな段階において非常に重要な役割を担っています。黄体ホルモンが不足すると、身体機能の乱れにつながり、婦人科系の問題や精神面にも影響を及ぼすことがあります。

妊娠を希望する女性にとって、十分な黄体ホルモンは子宮内の環境を安定させ、妊娠の成功率を高めるのに役立ちます。妊娠後も黄体ホルモンは胚の安定した発育を支え、早産や流産を防ぐ働きがあります。そのため、黄体ホルモンの異常を防ぐことは、妊娠を希望するご夫婦にとって重要なポイントの一つです。妊娠における黄体ホルモンについて、さらに詳しく知りたい方は、ぜひご相談ください。

妊活をしばらく続けても妊娠に至らないご夫婦は、ほかの原因による不妊症の可能性について医療機関で検査を受けることをおすすめします。必要に応じて人工授精や体外受精などの治療を受けることで、妊娠できる可能性があります。