医療コラム

男性不妊症の検査方法は?泌尿器科と不妊外来のどちらを受診すればよい?

不妊の原因は女性にあると考えられがちですが、男性側に原因がある場合も少なくありません。臨床統計によると、不妊症の原因の約4分の1は男性側にあります。そのうち、約3分の1は遺伝性の無精子症、約3分の2は精子の質の低下や精子数の減少が原因とされています。不妊外来では、精子数・精子濃度・精子形態・運動率などを検査し、男性不妊症の可能性を評価します。

男性不妊の原因には以下のようなものがあります。

  • 高温環境による精子へのダメージ
  • 精索静脈瘤による精子数の減少
  • 一部の疾患や薬剤の服用による精子数の低下
  • 喫煙や飲酒による精子DNAへのダメージ

男性不妊症の原因は?

男性不妊症の主な原因は、以下のように分類されます。

  1. 性機能障害:射精障害により射精ができず、精液が正常に腟内へ到達しないことで不妊となる場合があります。また、勃起障害(ED)によって性交ができないことも、男性不妊症の一般的な原因の一つです。
  2. 先天的要因:一部の男性では、遺伝や先天性疾患により精子をつくる機能が低下しています。例えば、停留精巣・重度の精巣発育不全・精巣が小さいことなどが挙げられます。これらの方の多くは勃起や射精は可能ですが、精液中の精子濃度が低い、あるいは精子が存在しない場合があります。
  3. 後天的要因:内分泌疾患・精巣炎・慢性疾患・精索静脈瘤・精管閉塞なども影響します。
  4. 環境・生活習慣:長期間にわたり締め付けの強い下着を着用する・陰嚢周囲が高温状態になる・喫煙・飲酒などの日常生活も精子の状態に影響を与えます。

男性不妊は何科を受診すればよい?

男性不妊症は何科を受診すればよいか迷われる方も多くいらっしゃいます。男性不妊症の検査や治療は、泌尿器科だけでなく、不妊外来でも受けることができます。

男性不妊症の検査項目は?

男性不妊症の検査では、一般的に以下の項目を行います。

1.問診
病歴、家族歴、生殖歴、性生活歴、服薬歴、生活習慣、接触歴、職業歴などについて詳しく確認し、総合的に評価を行います。

2.精液検査
精液検査は、男性不妊症の最も基本的な検査です。精液中の精子数・精子の形態・精子の運動率などを評価します。さらに、必要に応じてより詳しい精液検査として、HBA(ヒアルロン酸結合能検査)、精子DNA断片化検査などの追加検査を行う場合もあります。

精液検査の基準値

精液検査項目 基準値 異常の主な原因
精子濃度 1,500万個/cc 統計によると、BMIが高い方、高血圧や代謝性疾患のある方では、精子数の減少が認められる可能性が高いとされています。
精子運動率 40% 精子運動率の低下は、精子形態異常に関連することがあります。また、環境汚染、高温環境、疾患、喫煙、精子輸送経路の異常なども運動率に影響を及ぼします。
正常形態精子率 4% 精子形態異常は、先天的な遺伝要因、長期間の不良な環境への曝露、不健康な生活習慣、感染症、ホルモン異常、精巣疾患などが関係すると考えられています。

3.性交後試験
性交後に尿検査を行い、逆行性射精(精液が尿道から体外へ射出されず、膀胱内へ逆流してしまう状態)の有無を評価します。

男性不妊症の治療方法は?

男性不妊症の治療法は、大きく以下の5つに分けられます。

1. 人工授精
精液の中から運動性の高い精子を選別・洗浄し、排卵のタイミングに合わせて女性の子宮内へ直接注入する治療法です。

2. 顕微授精
顕微授精とは、体外受精の受精過程において、顕微鏡下で1個の精子を選び、専用の細いガラス針を用いて卵子の細胞質内へ直接注入し、受精を行う方法です。

3. 電気刺激採精
自然に射精することが困難な患者様に対して行う治療法です。直流電気による刺激で射精を誘発し、精液を採取します。

4. 顕微鏡下精巣・精巣上体精子採取術
閉塞性無精子症による男性不妊症では、顕微鏡下精巣精子採取術または精巣上体精子採取術が選択されることがあります。顕微鏡を用いて精巣または精巣上体から精子を採取し、顕微授精に利用します。

5. 精子提供(提供精子による体外受精)
無精子症の方や、重篤な遺伝性疾患を有する方では、提供精子を用いた体外受精を選択することもあります。

男性不妊に関するよくある質問

不妊症とはどのような状態を指しますか?
不妊症(Infertility)とは、夫婦が避妊を行わず、週2~3回程度の性生活を1年以上続けても妊娠に至らない状態をいいます。

男性不妊に対して漢方治療は効果がありますか?
男性不妊外来では、「漢方治療は男性不妊の改善に役立ちますか?」というご質問をいただくことがあります。専門医に相談し、現在受けている治療や服用中の薬との相互作用がないことを確認したうえであれば、医師の判断のもとで漢方治療を併用することも可能です。

男性不妊症の検査・治療をご希望の方へ

男性不妊症と診断された場合でも、過度に心配する必要はありません。現在の生殖医療では、さまざまな治療法により、多くの男性不妊症に対応できるようになっています。例えば、顕微授精による受精率の向上・無精子症に対する電気刺激採精や精巣内精子採取術・精子提供や精子バンクの活用など、一人ひとりの状態に応じた治療法を選択することが可能です。大切なのは、ご自身の状態を正しく把握し、医師と十分に相談しながら最適な治療法を選択することです。

男性不妊を予防するために
妊娠を希望されるご夫婦には、日頃から適度な運動やバランスの良い食事、規則正しい生活を送ることが精子の質の維持・改善に役立つとされています。