卵管造影検査は痛い?検査後はいつから妊娠できる?
「卵管造影検査を受けると妊娠しやすくなる」という話を聞いたことはありませんか?卵管造影検査にはさまざまな情報がありますが、実際にはどれが正しいのでしょうか。本記事では、不妊治療専門医が卵管造影検査の目的や検査の流れ、痛み、検査後の注意点について詳しく解説します。
卵管造影検査とは?
卵管造影検査(Hysterosalpingography:HSG)とは、造影剤を子宮内へ注入し、X線撮影によって子宮や卵管の状態を確認する検査です。卵管が詰まっていないか(通過性)を確認するだけでなく、卵管水腫の有無、子宮の形態異常なども評価することができます。
卵管造影検査を受けるタイミング
検査は月経開始から7~11日目(月経が終了した時)に行うのが一般的です。月経が完全に終了した後に実施することで、子宮内をより鮮明に観察でき、正確な検査結果が得られます。
なぜ卵管造影検査が必要なの?
卵管は、自然妊娠において重要な役割を果たしています。そのため、卵管に異常があると、自然妊娠が難しくなり、さらに卵管水腫がある場合は体外受精の成功率にも影響します。
卵管造影検査では、次のような異常を調べることができます。
- 卵管閉塞(閉塞部位や程度)
- 卵管水腫
- 子宮腔内の異常
- 卵管結紮術・卵管再建術後の状態
卵管造影検査の流れ
検査時間は約30分で、一般的な流れは以下のとおりです。
- 腟鏡(クスコ)を挿入する
- 子宮頸部を消毒し、細いカテーテルを挿入する
- カテーテルを通して子宮内へ造影剤を注入する
- X線撮影を行う
- カテーテルなどを取り外し、検査終了
卵管造影検査は痛い?
卵管造影検査では、軽い生理痛のような鈍い痛みや張るような違和感を感じることがあります。一方で、過度に緊張すると筋肉が収縮し、痛みを強く感じる場合もあります。特に、腟鏡の挿入・カテーテルの挿入手・造影剤の注入の際に、一時的な不快感を覚える方がいます。
また、卵管が閉塞している場合には、造影剤が通りにくいため、通常より強い痛みを感じることがあります。検査後は30分ほど安静にすることで、多くの場合は症状が軽減します。
検査後には、以下のような症状がみられることがありますが、多くは一時的な正常な反応です。
- 少量の出血
- おりものの増加
- 軽い下腹部痛
ただし、大量の出血、強い腹痛、発熱などの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
卵管造影検査のリスク・副作用
まれに、造影剤に対してアレルギー反応が起こることがあります。かゆみや発疹、腫れなどの症状が現れる場合がありますので、過去に造影剤アレルギーを起こしたことがある方は、必ず事前に医師へお伝えください。
卵管造影検査後は妊娠しやすくなる?
「卵管造影検査後は妊娠しやすくなる」と言われることがあります。当院の李俊逸医師によると、造影剤を卵管へ流す際に、軽度の詰まりや粘液などが洗い流されることで、卵管の通過性が改善し、妊娠率が高まる可能性があると考えられています。このため、「卵管造影後のゴールデンタイム(ゴールデン3か月)」と呼ばれることがあります。
実際に、『The New England Journal of Medicine』に掲載された研究では、水性造影剤を使用した場合の自然妊娠率:約29%、油性造影剤を使用した場合の自然妊娠率:約38~39%との報告が示されています。
使用する造影剤の違い
卵管造影検査では、使用する造影剤の種類によっても違いがあります。造影剤は大きく分けて、水性造影剤と油性造影剤の2種類があり、それぞれ特徴や適応、費用が異なります。
| 項目 | 水性造影剤 | 油性造影剤 |
|---|---|---|
| 主成分 | ヨード水性造影剤 | ヨード油性造影剤 |
| 比重 | 軽い | 重い |
| 画像の鮮明さ | やや不鮮明 | より鮮明 |
| 検査時の不快感 | やや異物感を感じやすい | 比較的少ない |
油性造影剤の方が痛みが少ない?
「油性造影剤のほうが痛みが少ない」と言われることがあります。これは、水性造影剤は流動性が高く、卵管内を比較的速く流れるため、閉塞部位の周囲を通過する際に圧迫感や異物感を感じやすいことが理由の一つと考えられています。一方、油性造影剤は比重が重く、ゆっくりと流れるため、身体への刺激が比較的少なく、不快感が軽減される傾向があります。ただし、痛みの感じ方には個人差があり、卵管の状態や緊張の程度によっても異なります。
卵管造影検査前の注意事項
- 月経終了後から検査当日までは性行為を避けてください。
- 検査当日は、金属の付いた衣類は避け、動きやすい服装でお越しください。
- 撮影前にアクセサリー、眼鏡、腕時計、取り外し可能な義歯などの金属類は外してください。
- ヨード消毒液や少量の出血で衣服が汚れる可能性があるため、濃い色の服装がおすすめです。
- 検査後に少量の出血がみられることがあるため、生理用ナプキンをご持参ください。
- 食事や水分を制限する必要はありません。
- 検査前には排尿を済ませてください。
- 検査前は脂っこいものや刺激の強い食事を避け、食べ過ぎにも注意してください。吐き気を防ぐためです。
卵管造影検査後の注意事項
- 検査は日帰りで行われ、入院や麻酔は必要ありません。
- 少量の出血、おりものの増加、軽い下腹部痛は一般的な反応です。
- 検査後に体調が優れない場合に備え、ご家族やご友人の付き添いがあると安心です。
- 医師の指示に従い、処方された鎮痛薬や感染予防薬は必ず服用してください。
- 強い腹痛や大量の性器出血がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 検査内容によっては腟内にガーゼを挿入することがあります。その場合は、当日の入浴前に取り除いてください。
- 帰宅後は通常どおり食事をしていただけますが、水分を十分に摂り、造影剤の排出を促しましょう。
- 新鮮な野菜や果物、卵や乳製品など、栄養バランスの良い食事を心がけてください。
卵管造影検査を受けられない方
次のいずれかに該当する場合は、卵管造影検査を受けることができません。
- 妊娠中の方
- 骨盤内炎症性疾患(骨盤内感染症)のある方
- 造影剤アレルギーのある方
卵管造影検査後はどのような治療を行う?
卵管造影検査の結果は、通常約1週間で判明します。検査後は、「卵管造影後のゴールデンタイム(約3か月)」と呼ばれる妊娠しやすい時期を活かし、患者様の状態に合わせて最適な治療方針を選択します。ご夫婦ともに精子や卵子の質に問題がなく、子宮内膜にも異常が認められない場合は、まずタイミング法などの一般不妊治療を行うことがあります。具体的には、卵胞の発育を超音波で確認する・黄体ホルモン製剤を使用する点排卵誘発剤や排卵誘発注射を用いるなどにより、自然妊娠の可能性を高めていきます。
一方、卵巣や子宮にほかの不妊原因がある場合や、卵管閉塞、卵管癒着、子宮内膜症(チョコレート嚢胞)などを合併している場合は、症状の程度に応じて人工授精または体外受精が選択されます。特に重度の卵管障害がある場合には、体外受精がより効果的な治療法となります。
卵管造影検査後に体外受精を行う場合の注意点
体外受精へ進む場合は、卵管閉塞の部位や卵管の状態を十分に評価することが重要です。特に、卵管水腫がある場合には注意が必要です。卵管内にたまった液体が子宮内へ逆流すると、移植した胚の着床を妨げたり、妊娠率を低下させたりする可能性があります。そのため、卵管水腫が認められる場合には、体外受精を行う前に卵管を切離・閉鎖する手術を検討することがあります。
李俊逸医師からのアドバイス
健康な体づくりは、卵子や精子の質を維持・向上させるうえで非常に大切です。規則正しい生活習慣や適度な運動、バランスの取れた食事を心がけることは、不妊治療中だけでなく、妊娠・出産に向けた体づくりにもつながります。もしもご自身が不妊症ではと感じたら、一人で悩まず、できるだけ早い段階で専門医に相談することが、妊娠への第一歩となります。