妊娠したかもと思ったのに陰性?考えられる原因と正しい妊娠検査のタイミング
臨床現場では、不妊治療中の患者様の中に、乳房の張りや痛み、吐き気・嘔吐、生理の遅れなど、妊娠に似た症状が現れることで、「妊娠したかもしれない」と感じるケースが少なくありません。しかし実際には妊娠しておらず、このような状態を「偽妊娠(ぎにんしん)」と呼びます。
偽妊娠は、妊娠への強い期待やプレッシャーを抱えながら、なかなか妊娠に至らない女性に多く見られる傾向があり、特に不妊症治療中や生殖補助医療を受けている方によくみられます。
また、排卵誘発の際に使用される「排卵(hCG)注射」には、妊娠検査薬が反応するhCG成分が含まれています。そのため、推奨時期より早く自己判断で妊娠検査を行うと、検査薬に陽性反応が出る場合があります。しかし、これは実際の妊娠ではなく、注射に含まれるhCG成分による影響である可能性があり、これも「偽妊娠」の一例とされています。
偽妊娠の症状とは?
「偽妊娠(ぎにんしん)」は病気の一種ではなく、妊娠中にみられる症状と似た変化が現れることで、「妊娠している」と思い込んでしまう状態を指します。しかし、実際に検査を行うと妊娠していないことが分かります。
偽妊娠では、主に以下のような症状がみられることがあります。
1. 生理が来ない
生理の遅れによって「妊娠したかもしれない」と感じる方は少なくありません。しかし、月経周期はストレスや生活習慣、ホルモンバランスなどさまざまな要因の影響を受けます。また、もともと月経不順の方もいるため、「生理が来ない」だけで妊娠を判断することはできず、あくまで参考程度となります。
2. 吐き気・嘔吐
妊娠初期には吐き気や嘔吐がみられることがありますが、偽妊娠の場合にも同様の症状が現れることがあります。これは、強いストレスや精神的な影響が関係している可能性があります。
3. 乳房の張り
妊娠中は乳房の張りや痛みを感じることがありますが、月経周期の中でも卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の影響によって乳腺が刺激され、同様の症状が現れる場合があります。そのため、乳房の張りだけで妊娠と判断することはできません。
4. 胎動のような感覚
一部の方は、腸の動きを胎動と勘違いしてしまうことがあります。しかし、一般的に胎動を感じ始めるのは妊娠中期以降であるため、妊娠初期の段階で胎動を感じることはありません。
5. お腹の張り・ふくらみ
お腹が張る原因には、消化不良やガスが溜まることなど、さまざまな要因があります。また、「妊娠している」と思い込むことで食事量が増え、体重増加によって腹部がふくらむケースもあります。
偽妊娠が起こる原因は?
「偽妊娠」の状態は一般的には多くありません。偽妊娠が起こる場合、その主な原因は心理的ストレス、薬の影響、疾患などの三つの要因によることが多いです。
1.心理的要因とストレス
女性が妊娠の成功を強く望み、強い緊張状態や大きな心理的ストレスを抱えると、体に妊娠に似た症状が現れることがあります。また、過度に気にすることで、正常な生理的変化を妊娠の兆候だと過剰に解釈してしまうこともあります。
2.薬の影響
生殖補助医療の治療を受けている患者さんは、治療過程でホルモン注射を行います。例えばHCG成分を含む排卵誘発注射(破卵針)です。これにより妊娠検査薬が陽性反応を示す場合があります。そのため医師の指示に従い、排卵誘発注射後すぐに妊娠検査を行わず、胚移植後約12~14日経ってから検査することが推奨されます。
3.疾患要因
全身性エリテマトーデスや卵巣腫瘍、あるいは肺がん、肝がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、乳がんなどの患者さんでは、体内のhCG値が上昇することがあります。そのため妊娠検査で陽性反応が出る場合があります。
偽妊娠で妊娠検査薬が「2本線」になるのはなぜ?
最も一般的な方法は、妊娠検査薬で尿中のhCG濃度を直接検出する方法です。そのほかにも、採血や超音波検査によってより正確に妊娠判定を行うことができます。
・採血
血液からhCG値を直接測定し、妊娠の有無を判断します。一般的にhCG濃度が15~20mIU/mL以上になると、妊娠検査薬で陽性反応が出る可能性があります。一方、hCG濃度が15mIU/mL未満の場合は、採血でなければ検出できないことがあります。
・腹部超音波検査
非侵襲的な超音波検査により、子宮内に胚胎が存在するかどうかを確認します。
・経膣超音波検査
超音波プローブを膣内に挿入して行う検査で、腹部超音波よりも精度が高く、子宮内の胚胎の有無、胚胎の大きさや形状などをより詳しく確認できます。